3D建物探訪

銘建工業本社オフィス

設計主旨

銘建工業は、集成材とCLTの製造と施工を手がける企業で、本社屋はCLTの生きたショールームになる。架構のシステムは、「菱組」と名付けた集成材の斜め格子を並行に配置し、CLTを用いたV型の梁と折板構造の屋根を橋のように掛け渡す構造としている。
敷地形状に合わせて建物を分割してずらすことで、内部の構造や空間にもずれと動きが生じ、菱組がゆるやかに空間を分節する一体空間ができあがった。東側のエントランス周りには共有スペースがあり、そこから半層下がった1階と2階にある執務室までが、中央の吹き抜けを介して一体的につながる。
この一体空間を十分な断熱材と気密性を保つ外皮でくるみ、快適で開放感のある執務環境をつくり出している。複数の建物に分散していた部署がひとつ屋根の下に集結し、フリーアドレス席やカフェスペースを活用した新しい働き方も始まっている。

CLTの魅力について

伝統的に日本人は木造建築に親しんでおり、木という材料は私たちの生活と密接な関係を織りなしてきました。CLTは巨大な木の塊です。その製造方法は工業的なのですが、私たちはその木の塊が持つ存在感に魅力を感じずにはいられません。
CLTを用いた構造は、表には全く見えないものとして使うことも多いでしょう。特に表面に耐火被覆などが必要な場合に他の選択肢はありませんし、建設資材としてCLTを使うことは、既に地球温暖化防止につながる重要な意義があります。しかし、もし被覆しなくても良い場合には、CLTという木の塊が持つ存在感や、構法を直截的に表現することによって、建築にさらなる価値と魅力を生み出すことができると考えています。CLTを用いた建築には、日本の木造建築の伝統を未来へとつなぐ可能性を感じています。

建物概要

所在地 岡山県真庭市
竣工 2019年12月
規模 地上2階
構造 木造
敷地面積 1,398.17㎡
建築面積 603.15㎡
延床面積 991.91㎡
用途 事務所
設計・監理 NKS2アーキテクツ/末廣香織 末廣宣子 佐藤寛之
構造設計 桃李舎/桝田洋子 宮本悠子 吉村水純
設備設計 シード設計社/鶴澄 中川佳則 仲村浩史
施工 大本組/先原憲司 山下晋司 窪木唯人
CLT・集成材 銘建工業/永松裕介 谷口 翼 森本知宏
設備工事 双葉電機/小橋健司 浅井寛之
プロジェクト総括 銘建工業/中島洋
プロジェクトマネージャー 納屋/大村紋子 嘉納康彦 松岡篤

略 歴

末廣香織(すえひろ・かおる)

1984年 九州大学工学部建築学科卒業
1986年 九州大学大学院建築学専攻修士課程修了
1986-90年 SKM設計計画事務所勤務
1990-91年 EAT一級建築士事務所代表
1991-94年 ベルラーヘ・インスティテュート建築学大学院 修了
「オランダ政府給費留学生及び彫刻、デザイン、建築基金」 奨学生
1993年 ヘルマン・ヘルツベルハー建築設計事務所勤務
1994-98年 九州大学工学部建築学科助手
1998-00年 NKSアーキテクツ共同主宰
2000-05年 有限会社エヌ・ケイ・エス・アーキテクツ 代表取締役
2005年 - 九州大学大学院人間環境学研究院准教授

末廣宣子(すえひろ・のりこ)

1983年 日本女子大学家政学部住居学科卒業
1985年 日本女子大学大学院住居学専攻修士課程修了
1985-91年 SKM設計計画事務所勤務
1992-94年 ヘルマン・ヘルツベルハー建築設計事務所勤務
1995-00年 NKSアーキテクツ主宰
2000年 - 有限会社エヌ・ケイ・エス・アーキテクツ 取締役
2020年 - 有限会社エヌ・ケイ・エス・アーキテクツ 代表取締役

佐藤寛之(さとう・ひろゆき)

2014年 九州大学大学院人間環境学府修士課程終了
2014年 - 有限会社エヌ・ケイ・エス・アーキテクツ
2020年 - 有限会社エヌ・ケイ・エス・アーキテクツ 取締役
2020年 - 佐藤寛之設計 代表

NKS2アーキテクツ
https://nksarc.com

桝田洋子(ますだ・ようこ)

1959年 大阪府生まれ
1984年 京都工芸繊維大学 工芸学部 住環境学科卒業
1984年 川崎建築構造研究所(~1988年)
1989年 桃李舍設立
1993年 京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科修士課程修了
2001年 有限会社 桃李舎 とする
2006年 奈良女子大学非常勤講師(~2010年)
2007年 有限責任事業組合j.Podエンジニアリング共同設立
2011年 岡山県立大学非常勤講師(~現在)
2015年 (一社)日本建築構造技術者協会理事(~2017年)
2018年 (一社)関西消費者協会 理事

桃李舎
https://tourisha.work

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